事故・災害による損傷のある遺体の取扱い

3月11日に発生した東日本大震災により被害を受けられた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
被災地での救援活動にお役立ていただくため「事故・災害による損傷のある遺体の取扱い」を掲載いたします。
引用) : ICHG研修会編 : 「遺体に携わる人たちのための感染予防対策および遺体の管理」 医事出版社,2002,p109,110

不慮の事故や災害による死亡の場合は、遺体の汚れや損傷、腐敗が激しいことがあり、取扱いや死亡場所からの搬送が非常に困難な場合がある。また遠距離搬送を余儀なくされる場合もある。
事故や災害による死亡の場合は、死体袋を使用して搬送する。強度の損傷や激しい腐敗現象が出現している場合は、安置場所及び一時保管場所に到着した後、死体袋を開封せずに納棺する。納棺後ドライアイスを装着する場合は、死体袋の上から装着する。納棺後、損傷度により対面が可能な場合は、顔が見える一部分のファスナーを開けることができる。
(注意 1類・2類感染症での死亡の場合は、感染予防対策上いったん閉じた死体袋は開けない)

注意事項
不慮の事故による遺体の取扱いは、血液・体液・排泄物等による曝露事故をまねく危険性が高い。
ユニバーサルプレコーション(標準予防策)に基づいて感染予防対策を実施する。

感染予防対策
①ディスポーザブル手袋、プラスチックエプロン又は防水性の衣服※、メガネを着用して作業を行う。
②作業終了後手袋を外した後は、液体石けんと流水による十分な手洗いをする。
血液・体液・排泄物等が付着した場合は、消毒剤を用いた衛生的手洗いをする。
※防水性の衣服:防水加工又は撥水性のある身動きしやすいジャンパー等

死体袋使用時の留意点
遺体を死体袋に納める際にディスポーザブル手袋を使用して携わる。その汚染された手袋のまま死体袋のファスナーを閉め、取っ手を持って搬送した場合は、手袋で接触した部位は汚染される。その後それら汚染された部位に接触する際は、ディスポーザブル手袋を使用して携わる。死体袋の汚染状況がわからない場合は、手袋を使用して携わる。

ディスポーザブル手袋、プラスチックエプロン等の廃棄
汚染物や使用した手袋、プラスチックエプロンは、ただちにプラスチック袋に廃棄する。廃棄処理業者の感染予防上プラスチック袋は、二重にして使用するかあるいは厚手のものを使用し、体液等が漏れでないように排出する。

防水性着衣の処理
防水加工又は撥水性のジャンパーなどが血液・体液・排泄物等によって汚染された場合は、次亜塩素酸ナトリウム液0.5%(5,000ppm)を染み込ませたディスポ布で清拭した後、別の清潔な湿ったディスポーザブル布で十分拭き取り乾燥させる。ただし、色落ちの恐れがある。

MEMO
ディスポーザブル手袋を使用する場合は、負荷がかかって破損することを想定して、二重にして使用するか又は厚手のものを使用する。また破損する可能性から、常に予備を携帯する。


コラム 災害時の死体袋の活用

災害時、死者が多数の場合は非常事態として例外的に、安置は死体袋のままとする。できれば死体袋の上から全体を白布で覆う。死体袋の利点は、損傷による血液・体液・排泄物等の漏出を防ぐだけでなく、仮に数日間一時保管する場合において、死体袋が破損しない限り腐敗した体液等が漏れ出さない、腐敗臭をある程度まで防げるという点にある。


コラム 災害時(遺体収容)

災害時の遺体収容は、遺体を死体袋に納めた後、死体袋表面に貼付されているプレートに遺体発見者、遺体発見日時、発見場所、発見時の状況、遺体の身元確認の有無、性別、大人・小児、損傷強度・対面不可等判明しているなどの情報を明記することが望まれる。記載方法は各機関の取り決めに従う。


コラム 災害時(身元確認)

災害時家族・親族による身元の確認を行う際は、死体袋についている小窓からの対面とし、感染予防対策上家族が直接遺体に触れないよう配慮する。損傷が強度の場合は、心情を察し直接の対面は避けることや遺留品の確認に留めるなどの配慮をする。


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