社会貢献活動

災害遺体支援チームの発足にあたり

この度、美粧衛生師、遺体感染管理士（DICM）の仲間とともに災害遺体支援の実施へ向けて準備委員会を発足いたしました。災害遺体支援は、災害でお亡くなりになられた人の身体のケアを行う活動です。災害遺体支援という呼び方は、本来は災害犠牲者支援との表記が適切かと思いますが、遺体とする方が誰に対して支援するチームか理解いただきやすいと考え災害遺体支援とさせていただきました。
“災害時の遺体ケア”のおもな作業は、「泥土、汚物等による身体の洗浄」「腐敗抑制のための消毒」「体液漏れ防止処置」「損傷の処置」「包衣（着衣の代用）」「ドライアイス処置」等、遺体ケアと遺体冷却の作業を考えています。ご遺体のメイク・修復については、対応の準備はいたしますが、ご遺体の損傷の程度や腐敗の進行状況によっては対応不可能なケースが多いと想定しています。

現在、災害時のご遺体の取扱いは、公的機関等（政府、自衛隊、警察、消防、自治体、法医学会、歯科医師会）が担っています。同機関等はご遺体の捜索・発見から収容、検視・検案、火葬に至るまでの、おもに法律上のご遺体の取扱いを担います。しかし、先に述べた災害時の遺体ケアについては、専門の支援団体はありません。柩、ドライアイス、死体袋などの物資支援につきましては、自治体と葬祭業組合との協定により災害発生時に要請するという現状です。東日本大震災発生時には葬祭業へ人的支援要請がありました。作業内容は「ドライアイス処置」と火葬場への柩の送り出しでした。ご遺体収容の最終段階では、柩からの体液漏れや強度の臭気が発生するなど、取扱いが困難な状況がありましたが、ケアはできませんでした。ご遺体取扱い時の服装（防護服）などの装備も不十分でした。出動する方々の感染予防対策は弊社エル・プランナーが対応させていただきました。急遽の要請でしたから、出動態勢（動員の人選および人数の確保、安全対策など）を整えるには、さぞご苦労があったことと思います。葬祭業の人的支援活動には心より敬意と感謝を申し上げます。

大規模災害時において多数の災害犠牲者が発生した場合は、ご遺族が故人様を偲ぶタイミングは、検視・検案が終了した後の引き渡し直後の対面時しかないと想定されます。ご遺族が求められるのは、一刻も早いご遺体との対面です。
災害直後には、愛する人の突然のご逝去に大きな衝撃がご遺族の心を侵襲します。災害犠牲者が多数の場合は、自分だけが不幸に会ったわけではないため、感情を表出せず閉じ込める事態も起こります。家族を助けられなかった自責の念や、家族の中で一人だけが救出されたケースでは「一緒に逝けばよかった」と、深い失望から生きる気力を失う事態（自死に繋がる）も推測されます。 そのような状況だからこそ、ご遺族の心情の目線に立ち、スピーディーで適切な対面に向けての遺体ケアが必要であり、遺体ケアに携わった人の心の暖かさをもってご遺族に寄り添うことができればと考えております。

そのような経緯から、死後ケアに携わる職業人として、災害遺体支援チームの必要性を痛感し発足に至った次第です。災害時のご遺体のケアは困難な作業です。できるだけ早い出動が望まれます。できる限り平等な遺体ケアを行うためには、賛同参加してくださる多くの協力者が必要です。私たちは、発足したばかりの微力な準備委員会ですが、全国の遺体感染管理士、医療従事者、葬祭業従事者に呼びかけ、協力を募る所存でございます。また、専門家、関係者の方々の助言を受け、各方面から協力を仰ぎ、継続可能な体制の構築に向けて準備をして参る所存でございます。ご指導ご協力をお願いする折には何卒宜しくお願い申し上げます。

有限会社エル・プランナー
代表取締役 橋本佐栄子

遺体感染管理士の皆様へ

現在、準備委員会が中心となり、活動概要を協議しているところでございます。災害遺体支援チームは、DICMの皆様にすぐに災害現地への出動をお願いするものではありません。時間がかかることかと存じますが、皆様方には、概要が整い次第ご報告ご案内をさせていただきます。

最後まで安全で
人にやさしい死後ケアを

死後ケア認定資格

遺体感染管理士 認定資格養成講座

• 遺体感染管理士のご案内はこちら
• 遺体感染管理士　認定資格養成講座　募集要項