コラム 死後処置(エンゼルケア)の手技

救急診療 検死・検案のその後

突然の不調で病院へ運ばれた人が、診療行為中、または比較的直後の急死で、死因が不明な場合は、死体検案が行われます。医療行為が行われた急死のご遺体には、無数の注射針痕があります。注射針が抜去された部位からは、時間が経過してから連続して出血することがあります。
私の携わった経験では、検案が行われた急死のご遺体の注射針痕には、バンドエイドや少量のテープが貼ってあるか、何も施されていません。搬送到着後直ちに、注射針痕を丁寧に確認し、バンドエイドなどには、血液が漏れ出ないように、圧迫固定をし直します。
けれど、すべての注射針痕を見つけることはできません。見つけられなかった注射針痕から、時間が経過してから連続して出血が起こり、着衣や寝具まで取り換えることがあります。

【死体検案】

死体検案とは、医師が死体の外表を観察し、その所見に基づいて、諸診断事項を医学的に判断すること。犯罪性の有無にかかわらず、すべての外因死、死因が不明は死体、発症が死亡前後の状況に異常のある死体が対象となる。妊娠4ヶ月以上の死児(死胎)、人体の一部を含む。

参考文献
「検死ハンドブック」
高津光洋(たかつあきひろ)著 南山堂 1996年初版 1998年2刷

【医療従事者と葬祭業従事者 死後の処置の役割】

医療が行われた場合は、死後処置(エンゼルケア)は医療従事者が行います。医療に関与しない外因による死亡や、遺体で発見された場合等は葬祭業従事者が行います。
診療行為中、または比較的直後の急死で、検案が行われた場合は、医療器具(注射針)抜去後の手当が必要です。注射針抜去後の手当は、検案終了後医療従事者に担っていただけることを願っています。
死後の処置ができない場合は、葬祭業従事者に申し送りをすることが望まれます。なお、大学病院や医療センターでは、葬祭業従事者が常駐し、死後の処置を代行していることがあります。葬祭業従事者が代行する場合は、医療従事者に準じて適切に行ってください。

【急死の死後の処置のポイント】

注射針痕には、簡単なテーピングではなく、圧迫固定をします。後頭部には、検案時に行われた後頭窩穿刺(こうとうかせんし)後の連続する出血を予測して、フラット型の紙オムツをあてます。

【圧迫固定の方法】

準備するもの:ガーゼまたは脱脂綿・テーピング用テープ
ガーゼまたは脱脂綿を厚く重ねて用い、針を抜いた穴(注射針痕)を強く抑えます(圧迫する)。ガーゼ等がゆるまないように圧迫した状態で、その上からテーピングします。感染予防対策上、注射針痕の死後の処置は、検案時だけではなく常にこの方法で行います。


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