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2020/04/13

「オンライン座談会」レポート

葬祭業 感染予防 「新型コロナウイルス感染症への対応について」

開催日時
4月9日 21時~22時30分

出 者 者
・遺体感染管理士2種(葬祭業)17名
神奈川県(2名)、群馬県(3名)、石川県、徳島県、和歌山県(2名)、
広島県、静岡県、東京都(2名)、福岡県、山形県、徳島県、香川県

・遺体感染管理士(医療従事者)8名
和歌山県、奈良県(2名)、長野県(2名)、長崎県、千葉県、大阪府

オンライン座談会は、遺体感染管理士2種17名、遺体感染管理士8名のご参加をいただきました。座長は橋本佐栄子が務めさせていただきました。途中、画像、音声ともに良好で、通信が途切れることなく無事にオンライン開催ができました。遺体感染管理士認定資格養成講座にご来講以来、久しぶりにお会いした方もあり、お元気そうなお顔を拝見できたことをうれしく、また、情報を共有できたことを感謝申し上げます。

葬祭業は、新型コロナウイルスの感染拡大により、二つの課題をかかえています。一つは、葬祭業の搬送業務時の安全に対する課題です。もう一つは、ご遺族・ご会葬者の安全のための式場の環境に対する課題です。オンライン座談会では、参加者がお住いの地域での近況をお話しいただきました。また、主催者からは、葬祭業従事者の感染予防対策についてお話いたしました。

●参加者の現状報告 搬送時の感染予防対策について

・DICM認定資格養成講座を受講して以来、ディスポーザブルグローブを着用している。
・感染症の有無にかかわらず、すべてのご遺体を納体袋に納めて搬送している。
・自分はディスポーザブルグローブを着用しているが、ほとんどの社員は素手で携わっており、危険意識 が低くい。
・感染症指定医療機関へ、引継ぎについて問い合わせたが、納体袋は常備していない、病名については公 表しないとの回答だった。葬儀社が納体袋を持参することになるのか?政府は、医療機関に情報提供す るようコメントしているが、現状は、それを知らない病院があり、どのように搬送することになるのか が不明だ。
・直接、健康衛生課へ医療機関の対応をたずねた。葬祭業は、普段ディスポーザブルグローブを着用する 習慣がない(感染予防対策を実施していない)ことを説明したが、現時点では、医療機関へ、「納体袋(非透過性、密封)に納め、納体袋を消毒剤する」は伝えていないとのこと。納体袋の配布もない。
・死亡診断は医師が下されるものであり、疑わしい場合であっても、直接の死因が新型コロナウイルスと の記載がなければ、葬祭業従事者は通常の取扱いをすることになる。
・厚労省は、適切に処置が行われていれば、葬儀式は可能としているが、何をもって適切な処置として るのか、適切な処置とはどういう処置を指しているのか。疑問が残る。
・神奈川県では、数名の感染者が発生している。検案が行われる場合、ディスポーザブルグローブのほか、 検案事情に応じてガウンを着用している。
・遺体の保管について:ご遺族が、ご火葬を希望された場合、火葬時間までのご遺体の保管は、病院がし てくれるのだろうか?火葬場の保管が可能か?現時点では、健康衛生課ならびに火葬場からの通達はない。
・感染症法第三十条三についての確認:一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ感 染症等は、24時間以内に火葬し、又は埋葬できる」という法律は、24時間が経過してから火葬して よいとの理解でよいか?
・式場案内や葬儀相談、見積もり時など、人との近い距離での会話時に備え、目の粘膜に直接飛沫をあび ないようにメガネをかける。
・医療従事者からのコメント:葬祭業者さんがディスポーザブルグローブを着けて搬送する姿を見たこ とがない。

●参加者の現状報告 式場の感染予防対策について

・東京では、新型コロナウイルス感染症が判明している場合は、立ち合いはしていただかない。火葬場に併設される式場においては、ご遺族・参列者合わせて10名程度、ワンデー葬を推奨。
・式場内の焼香台のほか、参列者用の焼香台を式場外に設けるなどして、式場に入る人数を制限している。
・入館時のマスク着用、手洗い(アルコール消毒液の使用)の喚起をしている。
・マスク不足のため、ご遺族から事前に、会葬予定者にはマスクの着用をお願いしていただくことを伝え てもらうようにしている。
・葬儀式場の感染予防については、ご住職の考えを尊重しなくてはならない事情があり、感染予防に理解 のあるご住職ばかりではないため、葬儀社だけでは決められない難しさがある。
・通夜の会食についてはとりやめ、持ち帰り弁当に変更している。

【葬祭業における対策 まとめ】

●新型コロナウイルス感染症 搬送時の対応について

・医療機関において、稀有的・体液・排泄物等が漏れ出ない処置が行われており、納体袋に納められ、 納体袋の消毒(次亜塩素酸ナトリウム0.5%)が行われている場合は、特別の感染予防は不要である 。
・納体袋に納められたご遺体を搬送する際、納体袋、棺の汚染状況がわからない場合は、ディスポーザブ ルグローブを着用して携わる。
・医療機関から納体袋に納められている場合は、密封された納体袋は感染源隔離の考え方から開けない。 納体袋は、開けない限り安全である。
・ご遺体に携わる際は、接触感染に留意し、ディスポーザブルグローブを着用する。状況に応じて二重着 用する。常に予備のディスポーザブルグローブを常備する。
・汚染したディスポーザブルグローブを外す時は、外側に触れないように外し、液体せっけんと流水で 十分な手洗いをし、手を乾燥させる。
・速乾性すり込み式手指消毒剤は、正しく使用する。テキストp.44参照

●式場環境について

・葬儀式場の換気に配慮し、空気の入れ替えを行うなど、密室にならないよう配慮する。
・葬儀式場の椅子は、密接をさけるため、席の間隔をあける。
・それぞれ地方ごとに工夫し対策を講じ感染の予防に努める。

●その他 関連事項

・厚生労働省ホームページ「新型インフルエンザ対策ガイドライン」埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/090217keikaku-11.pdf
・令和2年3月30日、厚生労働省健康局結核感染症課、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課より、  新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体の引き渡しの取扱いについて、医療機関等は、感染防止の観点から、遺体の搬送作業及び火葬作業に従事する者にその旨の伝達を徹底するよう通達された。
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第1版2020年3月17日第1版発行
https://www.mhlw.go.jp/content/000609467.pdf
7.死後の処置
遺体の処置にあたる従事者は、ゴーグル(またはフェイスシールド)、サージカルマスク、手袋、長そでガウン、帽子の着用など個人防護具を着用し、作業後は確実に手指衛生を行う。遺体を安置する場合は、体外へ体液が漏れ出ないように処置し、納体袋を使用することが望ましい。
(参考)
『遺体に携わる人たちのための感染予防対策および遺体の管理』2011年,ICHG研究会編,医事出版社
p.44, p,92, p.109 ,110

夜間の開催にもかかわらず、ご参加いただきありがとうございました。
ご参加者から、次回の開催を希望する声を頂戴しています。
第2回の開催を検討し、決まりましたらご案内させていただきます。

オンライン座談会
橋本佐栄子

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